VocaTest

語彙テストについて(Just a Quick View)

語彙サイズテストの種類
単語知識とテストの種類
語彙知識の深さに関するテスト

Vocabulary Knolwdge Scale
Word Association Test

語彙サイズに関するテスト(受容語彙)
参考文献

語彙サイズテストの種類

語彙に関するテストは大まかに分けて、2種類が考えられる。（注）望月他(2003)では認知速度測定も入れて3種類

ある語に関して、どれだけのことを知っているか＝語彙知識の深さ(depth)
どれだけの量の語彙をしっているか＝語彙のサイズ(breadth)

理想的にはこれら２つの語彙の側面を同時に測定することが望ましいが、そのようなテストは開発されていない。

単語知識とテストの種類

Nation(2001)では、単語を知っているということは以下のことを含むとしている。

綴り

語形	音声

	語の構成要素
意味	語形と意味
	概念と指示物
	連想
使用	文法的機能
	コロケーション
	使用時の制約（使用域、頻度）

これらの分類はさらに、受容と発表に分けられることになる。
例えば、

綴り

受容＝語を見たときに、その語を他の語と区別できる
発表＝その語を書くことができる

Read(2000)が述べるように、語彙テストを含めた一般的なテストの傾向は、これらすべての要素を測定できるものがより良いと考えられている。
しかし、実際には個々の要素に関して測定するものしか開発されていない。

これらの知見を総合すると、

語彙知識の深さに関するテスト

＝語彙知識を構成する要素の一部を取り上げて、その語をどれだけ知っているかを測定する

語彙サイズに関するテスト

＝語彙知識を構成する要素の一部を用いて、どれだけの語をもっているのかを測定する

語彙知識の深さに関するテスト

Vocabulary Knolwdge Scale (Weshe and Paribakht, 1996)

受験者は与えられた語に対して、次の５段階を申告する（訳は望月他(2003)を修正して転記）

Ⅰ. この語は見たことがない

Ⅱ. この語は見たことがあるが、どういう意味か分からない

Ⅲ. この語は見たことがある。[ ]（同意語、訳）という意味だと思う

Ⅳ. この語を知っている。[ ]（同意語、訳）という意味である。

Ⅴ. この語を使って文を作れる。[ ] （これに答えるにはⅣにも答えてください）

	
	採点→I : 1点 / Ⅱ：2点
	      Ⅲ：3点/ Ⅳ：4点 / Ⅴ：5点　←　Ⅲ以上は誤答は減点

Word Association Test(Read, 1993; 1998)

受験者は与えられた語（形容詞）と関連があると思う語を４つ選択する。左右の欄から２つづつというわけではない。

sudden

[ beautiful quick surprising thristy ] [ change doctor noise school]

[目的]学習者の連想語彙を測定するもの。左の欄は連合的連想語彙、右の欄は統語的連想語彙からなる。

語彙サイズに関するテスト(受容語彙)

Vocabulary Levels Test(Nation, 1990; 2001)

測定サイズ：2000語、3000語、5000語、10000語(大学以上のレベル)
基礎データベース

2000語：Genral Service List (West, 1953)
3000語以上：Thorndike & Lorge (1944)をKucera & Francis (1997)の頻度情報で補正

構成：１レベル＝6セクション＝3つの定義と6単語の選択肢　(計18題)

例）The 2000 Word Level

1. copy
2. event		[ ] end or high point
3. motor		[ ] this moves a car
4. duty		[ ] thing made to be like another
5. profit
6. tip

レベル決定：18題中15題の正解でそのレベルの語彙力があると判断
語彙換算：ワードファミリー換算（語幹を知っていれば、派生語も知っていると推定する） ←派生語換算の1.6倍の語彙を測定している

Vocabulary Levels Test (Version 1, 2) (Scmitt, 2000; Schmitt et al, 2001)

上記のNationによるVocabulary Levels Test（VLT）のレベル設定、問題の内容、問題数を変更したもの（フォーマットは変更なし）。主な変更点は下線部

測定サイズ：2000語、3000語、5000語、10000語(大学以上のレベル), Academic Level(3000語と5000語の間で実施されることが推奨されている)
基礎データベース

2000語：Genral Service List (West, 1953)
3000語以上：Thorndike & Lorge (1944)をKucera & Francis (1997)の頻度情報で補正
Academic Level : the Academic Word List (Coxhead, 2000)

構成：１セクション(1レベル)＝10クラスター＝3つの定義と6単語の選択肢　(計30題)

例）The 2000 Word Level（Nationのバージョンと同じ）

1. copy
2. event		[ ] end or high point
3. motor		[ ] this moves a car
4. duty		[ ] thing made to be like another
5. profit
6. tip

レベル決定：？
語彙換算：ワードファミリー換算（語幹を知っていれば、派生語も知っていると推定する） ←派生語換算の1.6倍の語彙を測定している

望月テスト(望月, 1998)

→詳細はこちら

測定サイズ：1000語、 2000語、 3000語、 4000語、 5000語、 6000語、7000語
基礎データベース：北海道大学英語基本語彙表(園田,1986)
構成：1レベル＝30問（2問につき6つの選択肢が与えられる）

例）2000語レベル（望月他、2003;p.187より）

日本語の意味を表す英語を(1)～(6)の中から選び、その番号を解答欄に書き入れなさい。
-----------------------------------------------------------------------------------
１．旗			２．丸くて大きい緑色の野菜
(1) cabbage	(2) campus	(3) flag	(4) railway	(5) tin	(6) tournament
-----------------------------------------------------------------------------------
３．賞与			４．常磐で白黒の駒を動かして、勝敗を競うゲーム
(1) attention	(2) bonus	(3) chess	(4)hook	(5) pride	(6) union

レベル決定：測定したいレベルまでの正答率　×　測定した一番上のレベル

例：4000語までの実施で正答数が60であれば、正答数60 / 問題数120(4レベル×30問) × 4000 = 2000語レベル

語彙換算：派生語換算

The Eurocentres Vocabulary Size Test (Meara & Boxton, 1987)

測定サイズ：1000語、 2000語、 3000語、 4000語、 5000語、 Advanced、 10000語
基礎データベース： Thorndike & Lorge (1944)
構成：各レベル60語（40語が実在する語、20語は非語）

例）Level 2 Test

次の語のリストを読み、各語の意味を知っていたらY(yes)、知らなかったらN(no)を[ ]ないに記入しなさい。
1 [ ] galpin	2 [ ] impluse	3 [ ] suggest
4 [ ] advance	5 [ ] pecculiar	6 [ ] benevolate
.....

レベル決定：実在する語と非語へのYES反応の割合により統計的に算出
コンピュータ版も開発されている：Computer Version