コロナ禍に翻弄された2020年度は,たまたまお声がけいただいて,大修館の『英語教育』にオンライン授業関連の記事を3回寄稿させていただいた。大修館の担当者から,「3部作ってことで」と言われ,書いてみたものの,どこが3部作なのか…。さておき,2020年の振り返りもしていなかったので,3部作(笑)で何を書いたのかを振り返って,去年の振り返りにしてしまおう。
6月号(発売は5月)の英語教育では,「【緊急特別記事】オンライン教材を利用した英語授業で気を付けたいこと」として,オンライン授業をする際の留意点を5点ほど紹介した。記事を書いているのは4月上旬の時点で,勤務校でオンライン授業を行うことが決まった直後であり,さて,どうしようと考えていたところであった(勤務校でのオンライン授業への方針決定などは,こちらの記事を参照)。紹介した留意点は,
- 自学自習で済ませてはいけない
- オンライン教材の入り口は1つに
- 学習時間ではなくて,学習成果で判断
- コントロールできないものはしない
- 手を変え,品を変え,飽きさせないように
という5点で,バタバタした中で書いたにしては,まともなことを書いている(ような気がする)。実質,数日で書いて,寝かせて,即校了だった記憶がある。
これらの留意点のいくつかを広げたのが,第2作と第3作なっているので,オンライン授業元年の基本方針になりうるものを含んでいたのだと今思ったりする。
第2弾は,夏の終わりの別冊『英語教育2020年10月別冊 英語教師のためのオンライン授業・動画配信ガイド』に寄稿させていただいものである。タイトルは「オンライン授業におけるフィードバックの工夫:広島大学における実践例」としてあり,主に,6月号で述べた留意点の1に関するものである。記事を書いているのは,7月なかばくらいなので,前期の終わりが見え始めた頃だった。実践報告を書くつもりが,フィードバックに重心を置いてほしいということだったので,依頼を受けてから方向転換をした記憶がある。自分としても,ライブ型授業であれ,オンデマンド型授業であれ,いずれにせよフィードバックをどうしようかと悩んでいたので,実践報告として書きながら自分の頭を整理することができた。ライブ型授業とオンデマンド型授業で分けてフィードバックの具体的な方法を書いたが,細かいTipsのようなところで,意外と役に立ったところがあったようで,安心した記憶がある。
第3弾は,2月号(1月発売)で,「オンデマンド型授業における成績評価の工夫」という記事。6月号の3と4の留意点を振り返りつつ,別冊の内容も含んでいる。評価というのは,対面式授業でも困るのに,オンラインだと尚困るということで,試行錯誤を記事にしたというもの。特に大学でのオンデマンド授業を想定しているので,成績処理と出欠のあり方をメインにした。私の記事の前後にもオンライン授業での評価についての記事があり,どちらも,ちゃんと形成的評価という用語を使って,詳しく説明をされている。大変に為になったと同時に,「あ,形成的評価とか,総括的評価とか使えばよかった」と反省した。
そんなこんなで,オンライン授業の記事を3つ書いて,それで終わったような2020年だったけれど,それだけ,オンライン授業でお困りの先生方が多くいたということでしょう。何せ,オンライン授業の専門家でもない私に寄稿依頼が来るくらいですから。たまたま,勤務校でオンライン授業を以前から進めていたので,試行錯誤で学んでいたところを共有することができたのですね。今となっては,あ当たり前になったことを書き散らした感もありますが,どこかでお困りの先生のお役に立てたなら幸いです。